ワークライフバランスをとるために

● ワークライフバランスとは

 「ワークライフバランス」とは、仕事を充実させるとともにプライベートや家族との生活の充実も図るということです。仕事に満足していても、自分の「プライベートの生活」が充実していないと、次第に自分自身がつらくなっていきます。逆に、プライベートが充実していれば、仕事で多少つらいことがあっても何とか乗り切ることが出来ます。より質の高い看護の提供のためには、ワークライフバランスをとることが最も必要です。

 プライベートの充実を図り、「女性(男性)としての幸せ」「母親(父親)としての幸せ」も味わえるよう、『バランスの良い働き方』『働きすぎない働き方』について見直し、自分のライフステージに合った働き方を見つけましょう。

● 転職する目的を明確にする

 働きすぎて、家庭生活や自分自身の幸せが犠牲になっていたり、心身を病んでしまう人もいます。自分のプライベートの幸せと仕事の充実、これを天秤にかけて、『転職の目的や条件をはっきりとさせること』から始めてみましょう。

 「今、とてもつらい」「すぐにでも転職したい」

 漠然と転職そのものが目的になってしまうと、失敗してしまいます。
 「何のために」「誰のために」「どのような条件で」転職したいのか。これをはっきりとさせる必要があります。

 なぜならば、今はどこでも看護師不足で困っています。せっかく技術と経験を重ねた看護師も3年以内に何らかの理由で退職してしまうケースが多いのです。結婚や出産が理由になっていますが、「人間関係がつらくて転職したい」「激務に耐えられない」という方が大変多いです。
 看護師不足、相次ぐ退職のために残った人数でフォローする。こういったことが全国的に起こっているのですから、漠然と転職すると、「前よりも大変になった」「転職しないほうがよかった」ということになります。自分の目的が達成できる場所であれば、「生きがいを感じながら前向きに頑張っていく底力」がわいてくるはずです。

● 自分自身が真に求めていることを明確化する
 

 「自分自身が真に求めていることは何か」

 これをとことん追求してみてください。仕事がきついということが第一の苦痛だったとしても、その根底には、本当の望みが隠されています。

「お子さんの成長を見守りたいのに、育児の時間が取れない」
「出産を目的としているけれども、子育てとの両立が出来ないから」
「親の介護をしっかりとしたいのに、働きながらだと中途半端でもうしわけない」
「忙しすぎてパートナーとの関係がうまくいっていない」など。

 看護師としての職務を全うしたいのに「自分が本当に大切にしたいもの」が大切にできないというジレンマがあり、とてもつらい思いをしている場合があります。今つらいこと、転職で改善したいこと、強烈に望んでいること、これらをすべて書き出してみましょう。

● ワークライフバランス チェック表

感覚であてはまるマークを書き入れてみましょう。

◎そう思う○ややそう思う△あまりそう思わない×そう思わない

【1:勤務先の満足度】
□ 今の勤務先にできるだけ長く勤めたい
□ 上司は仕事の成果について公正に評価してくれている
□ 上司は必要な時に的確なアドバイスや支援をしてくれている
□ 部署では看護ケアに費やす時間を十分にとることが出来る
□ 現在の仕事の量と仕事の内容に関して今の給料が妥当であると思う
□ 定時で終えることが出来る
□ 現在の働き方に満足している

【1:勤務先の満足度】
 多くチェックが付く方は、勤務先に大変満足しているということですから、問題ないですね。もしも不満やつらい思いを抱えながら仕事をしている場合は、もう少し詳しく書き出してみましょう。

□ とてもつらいと感じていること
□ 改善してほしいと思っていること
□ 自分で解決できる問題かどうか
□ 相談できる人や機関

次はプライベートでつらいと感じていることをチェックしましょう。
×非常にそう思う △ ややそう思う ○ ふつう ◎ 全くそう思わない
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【2:プライベート】
□ 現在の生活全体に不満を抱えている
□ 家族の問題も抱えている
□ 十分な家族サービスができずになやんでいる
□ 地域生活で自分の役割を果たしていないと思う
□ 仕事を優先することで家族やパートナーにすまないと感じている
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【3:心と体の健康】
□ 体調が非常に悪くなったと感じている
□ 休みが終わった後疲れが取れないと感じる
□ 人間関係に悩みを抱えている
□ 以前の趣味や楽しいと感じていることが全くつまらなくなった
□ 家事が手につかなくなった
□ 深く眠ることが出来ず、目覚めがつらい
□ 起床の予定時間の1から2時間前に起きてしまう
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 【2】で×印がたくさんついた方は、以下のことについてさらに書き出してみましょう。

□ 特につらいと感じていることは
□ 抱えている問題は何か
□ どうすれば解決できそうか
□ 勤務の時間や勤務体制の変化があれば対応できそうか
□ 転職しなければならないか
□ 相談できる人や機関はないか

 人の抱える悩み事は、ほかの人には痛みが伝わりにくいものです。
 この機会に「なんとなくつらく感じていたこと」を整理して、良い解決方法を考えてみましょう。

【3】心と体に不安を抱えている方は、できるだけ休息をとったり、一時的に短時間勤務に切り替えて、心と体を健康にするために一歩踏み出してください。
 医者の不療生といいますが、専門家ほど自分の体調の変化を見落としてしまう可能性があります。つらさを我慢し続けていると、どこかで倒れてしまいます。
 いろいろな責務があるとは思いますが、ぜひご自分を大切にしてください。

● プライベートの充実が仕事を続けていくためには必須

~ ワークバランスをとるために ~

 チェック表でたくさんの不調にチェックが入った方は、「自分のライフステージに合った働き方」へスイッチを切り替えたほうがよいかもしれません。
 看護師さんの退職のきっかけは、「出産・介護」「自分の心身の体調不良」など、様々ですが、やはり過酷な勤務に耐えられず、体調を崩したことがきっかけになるようです。
 看護師は、免許がある限りどこででもいくつになってもいろんな仕事を見つけることが出来ます。「自分と家族がともに幸せになっていけるように」「明日がより楽しく感じるように」「生きがいとやりがい」を感じながら仕事ができるようにするために、自分自身を見つめてみましょう。

★ ワークライフバランスに関する詳細
⇒ http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/shuroanzen/wlb/

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