3年目の危機

● 3年目の危機

 新人の頃は、とにかく目の前の患者さんのケアと、一日も早く実力を身に着けたいという一心でがむしゃらに頑張っていることと思います。
 ところが、看護師の仕事を覚え、一通り看護師としての実力がついてくると、「このままでいいのかしら…」という漠然とした不安と身体的精神的な疲れで、突如として辞めてしまうケースが多くなってきています。

 3年ぐらい勤務経験を積むと、今度は新人ナースのプリセプターになったり、責任のある立場を任されたりし始めます。そうなって初めて、自分自身の実力や将来の不安、現在の病院の状況などが一気に見えるようになってしまい、「自信を失い、突如としてやる気を失ってしまう」ということが起きます。

 これは、あなたが「新しいステージ」に達したという成長のあかしでもあります。ただがむしゃらに頑張ってきた自分から卒業し、今度は「自分にしかできない研究や看護の実践を追求するためのステージ」にレベルアップしたのです。

● 悩む時間を大切にしましょう

 目的ややる気を失ってしまったら、初心に立ち返りましょう。「自分は今後、どのような看護感を持ちながらケアしていきたいのか、専門的に追及したいテーマは何か」について時間をかけて深く探っていきましょう。自分自身で考え『新しい大きな目的意識』を自ら見つける必要があるのです。
 この「漠然とした不安の中から勝ち取った目的意識」は、今後、あなたを大きく成長させていくための指針となるでしょう。焦って急に辞めてしまったり、すぐ転職せずに、まずは自分の今後の指針を見つけることから始めましょう。

● 転職するのは準備が整ってからでも遅くない

 「このままここで務めていていいのかしら…」「自分の将来が不安で…」と漠然とした不安を抱えたまま、とにかくやめてしまいたいという思いのままに転職してしまうと、次に決まった病院でも同じことを繰り返してしまいます。
 転職は「自分が一生をかけて追及したい研究テーマ」がみつかるまで待ちましょう。そのために具体的にどのような資格を取っていったらいいか、自分の研究したいテーマに沿った専門病院はどこかなど、人生の新しい道筋が見つかってからでも遅くありません。
 
● 新しい研究テーマを見つけるために

 「自分が一生かけて追及したい研究テーマ」を見つけるためには、毎日出会う患者さんや先輩看護師を細やかに観察することが最も早道です。
 普段は「こなさなければならない業務の一つ」にしか感じなかったことも、「何が研究テーマになるかしら…」といった視点を一つ加えただけで、非常に興味深い研究対象になります。

 たとえば、「転倒防止用トレーニングスリッパを用いた用高齢者への介入効果」を研究した人は、「トレーニングスリッパ」の効能を「観察・面接・質問紙」を用いた通常の観察だけでなく「熱・脈拍・関節可動域の変化・患者の唾液の殺菌数の測定」など生体反応を数値化して検証するという方法をとっています。
 
 「目の前の患者さんのこまり感」「周りの看護師のこまり感」。日常の勤務の中でちょっとした違和感や疑問、「もうちょっとこうなったらいいのに…」という発想から突如としてひらめきます。「あれ?」と思ったことや、患者さんの微妙な表情を見逃さず、「どうしました?」とぜひ突っ込んで聞いてみてください。患者さんとの語らいの中にヒントが隠れているかもしれません。

 悩んでいる時期は自分の心の中がよく見える分、周りの患者さんや後輩、先輩方が見えなくなってしまっています。ぜひ、「当たり前の毎日」を新しい目で細かにチェックしてください。そして、「もうちょっとこうなったらいいのにな…」という小さな発見をメモしていってください。その毎日の細やかな観察の中から「自分にしかできない研究テーマ」が生まれてくるはずです。

● 転職する際には

 自分の進みたい道が決まったら、たくさんの準備が必要です。
 今努めている病院でできることがたくさんあります。数々の研修を受けたり、現在受け持っている患者さんをよく観察しながら研究テーマをさらに詳しく練ったり、復学が必要な場合はその資金準備も必要でしょう。
 「退職した理由」も転職の際審査の対象になります。「自分の研究テーマを追求していくためにより専門性の高い病院へ転職したい」という建設的で前向きな理由であれば、より好感度を上げることが出来るでしょう。
 ぜひ、『未来への飛躍』のために今お勤めの病院内でできることをコツコツと準備なさってから転職に臨んでください。

● 初心に帰りたい時
 
 看護師さんは文章力が高い方が多く、数々の体験談を本になさっている方がいます。またあなたが看護師になるきっかけになった本もあることでしょう。時間がないと思いますが、技術書・専門書だけでなく「看護師になりたいとおもったあのころ」の自分の情熱を思い出すためにも、本を読んでみてください。
 研修に参加することではっと自分に目覚めることもあります。いろんな人の話を聞くこともとても刺激になります。チャンスは必ず来るはずです。

● 体と心がどうしてもつらい時

 「休む」ことも大切です。「逃げる」ことも大切です。体や心につらい症状を抱えている場合は、休みをきちんととってしっかりと治療ましょう。専門家だからこそ自分の症状に気づかないでいる可能性もあります。どうにもならないと感じた時や、周囲が勧める場合は、あなたの笑顔が大好きな家族のためにも、まず「不安があるところの受診」だけはしておきましょう。「生きていてくれればそれでいい」家族はみんなそう思っていてくれるはずです。

* 3年目の悩み がんばれナース
⇒ http://www.nursecheer.com/be-as-nuese/看護師3年目の悩み.html

* 3年目の悩み2 がんばれナース
⇒ http://www.nursecheer.com/be-as-nuese/看護師3年目の悩み2.html

【本】

川島みどりさんの本

「看護の力」岩波新書  
「あなたの看護は何色ですか」
「看護カンファレンス」
「キラリ看護」第41回ナイチンゲール紀章受賞記念出版
「看護記録用語辞典ー訴えからアセスメントへ」

看護師のエッセイ集

「看護師をやめたくなったときに読む本」
⇒ http://xn--l8j5e2b854qyeqmktfir8k1b.com/blog/0028/

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